講座作りで最初に決めたいのは「何を教えるか」ではない
講座を作ろうと思ったとき、多くの人が最初に考えるのが、
「何を教えよう?」
ということではないでしょうか。
もちろん、講座で何を伝えるのかは大切です。
ただ、私が講座を作るときは、その前に決めておきたいことがあります。
それは、
「この講座を通して、受講者をどこからどこへ連れていきたいのか?」
ということです。
何を理解してほしいのか。
講座を終えたあと、どんな第一歩を踏み出してほしいのか。
そして、そのときどんな感情になっていてほしいのか。
ここまで決めてから逆算すると、「何を教えるべきか」が見えやすくなります。
この記事では、自分の経験や専門性を講座にしたい方に向けて、私が実際の講座・セミナー設計でも大切にしている考え方を交えながら、講座の作り方を7つのステップで紹介します。
なぜ「教える内容」から考えない方がいいのか
経験や専門知識がある人ほど、講座を作ろうとすると、
「あれも伝えたい」
「これも知っておいてほしい」
「この知識も必要だ」
と、内容が増えていきます。
その気持ちはよく分かります。
でも、講師が伝えたいことを全部並べたからといって、受講者にとって分かりやすい講座になるとは限りません。
大切なのは、講師が何を教えたいかではなく、受講者にどんな変化を起こしたいのかです。
これは、教育分野でも使われている考え方です。
コーネル大学のCenter for Teaching Innovationでは、最初に「講座終了時に学習者が何を知り、何を大切にし、何ができるようになるのか」という学習成果を設定し、そこから評価方法、活動、教材などを決める「Backward Course Design」が紹介されています。
つまり、
教える内容 → ゴール
ではなく、
ゴール → 必要な内容
と逆算していく。
私は、この考え方にもう一つ加えています。
それが、「感情」です。
講座の作り方7ステップ
私が講座やセミナーを設計するときの考え方を整理すると、次の7つのステップになります。
- STEP1|誰のための講座なのかを決める
- STEP2|具体的な第一歩目を決める
- STEP3|自分だから届けられる価値を見つける
- STEP4|感情ゴールを決める
- STEP5|感情曲線を設計する
- STEP6|5ACTで講座の流れを作る
- STEP7|実践と次の行動まで設計する
ここから、一つずつ見ていきます。
STEP1|誰のための講座なのかを決める
まず決めたいのは、
「誰のための講座なのか?」
です。
ここでいう「誰」とは、年齢や職業などのプロフィールだけではありません。
考えたいのは、
- 今、何に悩んでいるのか
- 何をやってもうまくいっていないのか
- 何が分からなくて止まっているのか
- 本当はどうなりたいのか
という受講前の現在地です。
たとえば、
「起業家向けのセミナー」
だけでは、まだかなり広いですよね。
それよりも、
「自分の専門性を講座にしたいけれど、何をどんな順番で伝えればいいか分からない人」
まで具体的になれば、必要な内容も見えてきます。
講座は「誰に教えるか」だけではなく、
「どんな現在地にいる人を、どこへ連れていくのか」
まで考えることが大切です。
STEP2|具体的な第一歩目を決める
次に決めるのが、講座を受けたあとの具体的な第一歩目です。
ここで大切なのは、
「〇〇について理解する」
「〇〇ができるようになる」
だけで終わらせないことです。
私が講座を設計するときに考えるのは、
「講座が終わったとき、具体的な第一歩目をどう踏み出すのか?」
ということです。
たとえば、
「セミナーの作り方を理解する」
だけではなく、
「自分のセミナーを作るために、まず誰に届けるのかを書き出してみる」
というところまで具体的にする。
大きな成果をその場で出す必要はありません。
大切なのは、講座を受けたことで、
「分かった」で終わるのではなく、「まず、これをやってみよう」が決まっていること。
第一歩目が具体的になれば、
「その一歩を踏み出すためには、何を知る必要があるのか?」
「講座の中で、何を体験してもらう必要があるのか?」
を逆算できます。
つまり、
第一歩から逆算して、必要なものを選ぶ。
この考え方を持っておくと、講師が持っている知識を詰め込みすぎることも防ぎやすくなります。
STEP3|自分だから届けられる価値を見つける
同じテーマを扱う講座は、世の中にたくさんあります。
だからこそ、
「なぜ、この講座を私がやるのか?」
も考えてみてください。
ここでいう価値は、資格や肩書きだけではありません。
これまで何を経験してきたのか。
どんな壁にぶつかったのか。
そこで何を考え、どう乗り越えてきたのか。
何度も繰り返す中で、自分なりに見つけた方法は何なのか。
こうした経験の中に、その人にしか作れない講座の材料があります。
そして私は、これが「講師自身の確信度」につながると考えています。
自分自身が経験してきたことだから、自分の言葉で話せる。
自分が本当に価値を感じているから、確信を持って届けられる。
講座作りでは、
「何を教えられるか?」と同じくらい、「私は何なら確信を持って届けられるか?」
を考えてみてください。
STEP4|感情ゴールを決める
ここからが、私が特に大切にしている感情設計です。
講座のゴールを考えるとき、
「何を理解してほしいか」
「どんな第一歩を踏み出してほしいか」
だけではなく、
「最後に、どんな感情になっていてほしいか?」
も決めます。
私はこれを「感情ゴール」と呼んでいます。
たとえば、講座が終わったときに、
「なるほど。勉強になった」
で終わるのか。
それとも、
「私にもできそう」
「やってみたい」
「これなら一歩踏み出せそう」
と思っているのか。
同じ内容を伝えたとしても、講座の出口は変わります。
だから私は、
- 何を理解してほしいのか
- どんな第一歩を踏み出してほしいのか
- どんな感情になってほしいのか
この3つを考えます。
「講座が終わった瞬間、参加者にどんな言葉を口にしていてほしいだろう?」
そう考えてみると、感情ゴールを見つけやすくなります。
STEP5|感情曲線を設計する
感情ゴールが決まったら、そこへ向かう途中の感情も考えます。
私はこれを「感情曲線」と呼んでいます。
たとえば、私が2時間のセミナーを設計するときには、
興味 → 信頼 → 衝撃 → 危機感 → 自分ごと化 → 希望 → 興奮 → 実践
というように、参加者の感情や認識がどのように変化していくのかを設計します。
ここで大切なのは、ずっと楽しい状態にすることではありません。
場合によっては、
「今までのやり方では難しいかもしれない」
と気づく瞬間も必要です。
そのあとに、
「でも、こうすればできるかもしれない」
という希望が生まれる。
そして最後には、
「やってみよう」
という行動につながっていく。
情報をどんな順番で伝えるかだけではなく、受講者の感情や認識がどんな順番で変わるのかを見る。
これが、私が考える感情設計の一つです。
STEP6|5ACTで講座の流れを作る
感情の流れが決まったら、それを具体的な講座構成に落としていきます。
私が2時間セミナーを設計するときに使っているのが、「5ACT」という考え方です。
CONNECT|参加者とつながる
まずは、
「これは自分に関係のある話だ」
と感じてもらうところから始めます。
ATTENTION|今までの前提を揺らす
次に、参加者がこれまで持っていた常識や思い込みに問いを投げかけます。
「もしかすると、原因はそこではないのかもしれない」
という新しい視点を作ります。
DISCOVERY|自分ごとにする
新しい考え方を知るだけではなく、
「これは私のことだ」
と、自分自身の現状に気づいてもらいます。
VISION|未来を見せる
問題に気づくだけで終わらせず、
「こうすれば変われるかもしれない」
という未来や可能性を見せます。
ACTION|最初の一歩を踏み出す
最後は、実際にやってみます。
考える。
書く。
決める。
小さくても、その場で実践することで、
「分かった」
から、
「まず、これをやってみよう」
へ変えていきます。
5ACTは、単に話題を5つに分けるためのものではありません。
参加者の感情と認識の変化に合わせて、必要な内容を配置するための設計図です。
STEP7|「分かった」で終わらず、実践まで設計する
私がセミナーを設計するときに大切にしている考え方があります。
それが、
圧倒的な2時間=確信度 × 臨場感 × 実践
です。
どれだけいい話を聞いても、
「勉強になりました」
「いい話でした」
だけで終われば、日常に戻ったあと、具体的な一歩につながらないことがあります。
だから講座の中に、
- 実際に書いてみる
- 自分の場合を考える
- 誰かと話す
- 一つ決める
- その場でやってみる
といった実践を入れます。
そして最後には、
「では、ここから最初に何をするのか?」
まで決めてもらう。
講師が話し終えたところを講座のゴールにするのではなく、受講者が具体的な第一歩を描けている状態まで設計する。
ここまで考えて、私は一つの講座だと思っています。
講座の設計ができたら、開催方法を決める
ここまでの7ステップで講座の土台ができたら、次に実際の開催方法を決めていきます。
たとえば、
- 対面かオンラインか
- 単発か継続講座か
- 開催時間や回数
- スライドやワークシートなどの教材
- 価格
- 申込方法
- 決済方法
- 集客方法
などです。
もちろん、これらも講座を開催するうえでは必要です。
ただ私は、形式や価格から先に講座を作らない方がいいと考えています。
まず、
「誰に届けるのか」
「どんな第一歩を踏み出してほしいのか」
「どんな感情になってほしいのか」
を決める。
そのうえで、その体験を届けるために最適な開催形式や時間、教材などを選んでいく。
この順番の方が、講座全体に一貫性を持たせやすくなります。
私自身、講座作りで「感情」を大切にしている理由
私自身、講座やセミナーを作り、実際に届ける中で、内容だけではなく**「参加者の感情がどう動くのか」**を大切にしてきました。
自身のフロント講座では、参加者から個別相談への申込率が45%になった経験があります。
ただ、私が大切にしているのは、単に「個別相談へ誘導するテクニック」ではありません。
参加者自身が、
「もっと知りたい」
「自分もやってみたい」
「この先に進みたい」
と思える状態を、講座そのものの中で作ることです。
そのためには、参加者の感情だけを見るのでは足りないと私は考えています。
まず、講師自身がその内容に確信を持っていること。
自分が本当に価値を感じていることを、自分自身の経験と言葉で伝える。
その確信があるからこそ、話す言葉にも熱が宿ります。
この「講師自身の感情」については、私が**「感情トリガー」**と呼んでいる考え方ともつながっています。
この記事では詳しく扱いませんが、根底にあるのはとてもシンプルです。
人の心を動かしたければ、まず、自分の心を動かす。
私は、この考え方を講座・セミナー設計の中心に置いています。
まずは3つだけ書き出してみてください
ここまで7ステップを紹介してきましたが、最初から全部を完成させる必要はありません。
これから講座を作るなら、まず次の3つを書き出してみてください。
1.誰のための講座なのか?
その人は今、何に困っているでしょうか。
どんな状態から抜け出したいと思っているでしょうか。
2.講座が終わったとき、具体的な第一歩目を描けているか?
「理解できた」
「勉強になった」
で終わるのではなく、
「まず、これをやってみよう」
と具体的な第一歩を描けている状態を考えます。
3.そのとき、どんな気持ちになっていてほしいか?
「私にもできそう」
「やってみたい」
「これなら一歩踏み出せそう」
など、受講者自身の言葉として書いてみます。
この3つが決まったら、
「その第一歩を踏み出してもらうために、何を伝え、何を体験してもらえばいいのか?」
と逆算していきます。
そこから、カリキュラムを作り始めれば大丈夫です。
まとめ|講座は「情報」ではなく「変化」から逆算する
今回紹介した講座の作り方は、次の7ステップです。
- STEP1|誰のための講座なのかを決める
- STEP2|具体的な第一歩目を決める
- STEP3|自分だから届けられる価値を見つける
- STEP4|感情ゴールを決める
- STEP5|感情曲線を設計する
- STEP6|5ACTで講座の流れを作る
- STEP7|実践と次の行動まで設計する
講座を作るとき、いきなり、
「何を教えよう?」
から始めなくても大丈夫です。
まず考えてほしいのは、
「この講座によって、目の前の人にどんな変化を起こしたいのか?」
ということ。
そして、
「講座を終えたとき、どんな第一歩を踏み出してほしいのか?」
さらにもう一歩踏み込んで、
「そのとき、どんな感情になっていてほしいのか?」
まで考えてみてください。
そこから逆算すれば、本当に必要な内容が見えてきます。
講座は、講師が持っている知識を並べる場所ではありません。
受講者が「まず、やってみよう」と一歩を踏み出すための時間を設計する。
私は、そこまで考えることが講座作りだと思っています。
自分の経験を、どう講座にすればいいか分からない方へ
ここまで読んで、
「自分にも経験や専門性はある。でも、何を講座にすればいいのか整理できない」
「すでに講座はあるけれど、この内容でいいのか確信を持てない」
という方もいると思います。
自分にとって当たり前になっている経験ほど、自分一人では価値に気づきにくいものです。
50分個別相談では、これまでの経験や現在の講座を整理しながら、
「誰に、どんな価値を、どんな講座として届けるのか」
を一緒に見ていきます。
講座をゼロから作りたい方も、今ある講座を見直したい方も、まずは一度、自分の中にある材料を整理するところから始めてみてください。

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